ガスからIHコンロに変更した場合、発熱の仕方や熱の伝わり方が違うので、上手に使いこなすにはちょっとしたコツが必要となってきます。せっかく高いお金を払ってビルトイン型IHを導入したのに使いにくいという意見はよく聞きます。

ここでは番外編としてIHクッキングヒーターの上手な使い方を紹介します。電磁波のことはひとまず置いといて、ガスとは違ったIH独特のクセを理解してIH調理の達人を目指して下さい。

1.火力について

ガスとIHとの大きな違いは、ガスは火が当たる部分から加熱されて全体的に熱が伝導していきますが、IHは磁力線により鍋の底自体が発熱するということです。したがって、IHの場合は加熱面積がガスと比べると圧倒的に広いうえに、ガスのように炎が鍋の横に漏れて熱効率を落とすようなことが無いので強火はガスよりも相当強くなります。一方とろ火に関しても、ガスは目視で炎を確認して調整しますが、IHはボタンで120W程度までの微調整が可能なので、ガスよりももっと弱い超とろ火での調理が可能です。長時間の煮込み料理や保温等に有効ですし、コンロから出る電磁波も相当少なくなるはずです。

2.水量について

上記載のとおりIHは鍋の底自体が発熱するということは、ガスのように直接炎で炙られることが無いので水分の蒸発が格段に少なくなります。カレーや煮物などの長時間煮る料理はガスに比べると水分蒸発量は半分程度です。ガスの時と同じ分量で調理するとコクが無かったり、味が薄くなったりします。レシピどおり作ったのに薄味に感じる場合は、調味料は従来通りの分量でOKですが、水やだしやスープ等の水分系は2割程度少なめにするとガスの時と同じ出来上がりになると思います。

3.鍋蓋を使う

鍋底自体が発熱するIHは、鍋の側面には熱が伝わりにくくなります。そのため、気温(季節)や地域などの外気温環境によって微妙に出来上がりが違ったりします。対策方法として使用するのが鍋蓋です。鍋の中の熱を逃がさないように鍋蓋を使うことで、鍋の中の温度を一定に保つことが出来ます。ガス調理の場合よりも鍋蓋の使用が重要になってきます。、また、煮物料理のアドバイスとしては、ガスは直火で加熱するので加熱ムラが対流を起こし煮汁が全体に馴染みますが、鍋底全体が発熱するIHは対流が起こりにくくなるので落し蓋を使用すると煮汁がうまく行き渡ります。

4.熱効率を考えた鍋の選び方

IHは磁力線で鍋底にうず電流を作り出し発熱させる構造なので、鉄の含有率が高いほど熱効率は良くなります。また鍋底自体が発熱するので、鍋底面積が広い(接地面積が広い)ほど熱効率は良くなります。コンロ面のガイドの円形マークよりはるかに広い口径の鍋を使うのは意味が無いですが、容量が同じなら細長い深鍋よりも浅くて口径が広いほうが熱効率が良いので節電にもなります。また鍋底の厚さも熱効率に影響を与えます。厚みがあるほど熱は伝わりにくくなりますが、保温力が高くなりますし、均一に加熱ができますので弱火でじっくり煮込む料理に適しています。一方、底の薄い鍋は熱が早く伝わるので、早くお湯が沸きます。温野菜などさっと茹でるだけの場合やお湯を沸かすだけの場合は底の薄い鍋ほうがおすすめです。

5.鍋の温度チェック4つのテクニック

5-1.手をかざしてみる

低温調理やおおまかな加熱具合を確認する方法で最も簡単な方法は、鍋やフライパンの上に軽く手をかざしてみることです。暖かく感じれば60~70度にはなっていると思いますが、そこはカンと経験が必要になります。慣れれば手のひらが温度センサーになってくれます。

5-2.水滴を入れみる

水滴をたらしてみて、コロコロと玉のように転がれば十分に熱せられてるサインです。ただし、フッ素加工のフライパンの場合は空焚きするとフッ素皮膜にダメージを与えてしまいますので、底全体が覆う程度の水を入れてから加熱して沸騰を確認してからお湯を捨てて調理を始めます。

5-3.油の煙を確認

焼き物や炒め物の場合は、鍋が冷えた状態で先に油を入れてから高温加熱します。よく観察して、少し煙が出てきたらすぐに材料を入れるようにします。材料の水分はキッチンペーパー等で十分に拭き取っておいてください。

5-4.バターで確認

バターを利用する料理の場合は、油を少しひいて加熱してからバターを入れます。バターの色が茶色くなってきたらOKのサインです。材料を入れて調理してください。

 


以上、「IHクッキングヒーターの上手な使い方」でした。
IHクッキングヒーターの電磁波が気になる方は「IH電磁波レポート」の記事を参考に安心調理をお楽しみください。